示差走査熱量計を正しく校正する方法 | Linseis Japan
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示差走査熱量計を正しく校正する方法


熱分析装置の校正はなぜ必要?

装置を正しく校正する必要があるのはなぜでしょう? DSC などの熱分析測定では、品質保証によく使用されるため、測定結果は正確で再現性があるものでなければなりません。 これは、測定された温度が正確でなければならないことを意味します。 したがって、分析機器の正確なキャリブレーションと調整が重要です。

キャリブレーションは、標準物質を測定し文献値との比較により決定されます。 得られた結果が許容範囲内にない場合は、再度を調整する必要があります。

キャリブレーションをする必要がある場合とはどんなとき?

  • 新しい装置の導入時
  • 定期点検
  • 停電や地震などが発生したとき
  • 測定データに不自然な挙動や反応が検出されたとき

DSCのキャリブレーション

原則として、転移温度と転移エンタルピーが既知の参照物質の相転移を使用して、DSC 測定セルを校正および調整します。

センサーの種類等によって温度、昇温速度及びヒートフローパラメーターで誤差が発生する可能性があるため、これらを較正する必要があります。 ASTM E 967-97 および ASTM E 968-99 も参照してください。 誤差が許容範囲内であれば、サンプルの測定を開始できます。 そうでない場合は、調整を行う必要があります。

試料容器の材料 (熱伝導率、質量、形状、蓋の穴のサイズ)、炉の雰囲気、パージ ガスの流量および DSC センサー自体がパラメーターに影響を与える可能性があります。 それぞれどんな炉とDSCセンサーを使用するか等の組み合わせによって得られる結果は異なるため、組み合わせごとに個別の調整が必要です。

通常、下記に示す手順で調整します。

Tau lag調整

Tau lagは、炉の動作を表す時定数です。 調整すると、測定セルの動的動作が修正されます。 また、昇温速度が測定結果に影響を与えないようにします。

測定で得られたインジウムのオンセット温度が文献値より低い温度が得られた場合、補正なしで昇温速度を増加させると、融解開始温度は高温側にシフトしますが、この測定で得られた結果が正しいとは言えません。 測定したい温度範囲内でオンセット温度が異なる2種以上の標準試料を用いて調整する必要があります。

温度補正

温度補正により、オンセット温度が文献値と正確に対応することが保証されます。 ここでも、オンセット温度の異なる 2種以上の標準試料で調整することをお勧めします。

センサーの調整

センサー調整は、センサーから試料容器及び試料容器からサンプルへのヒートフローの信号を補正します。 ここでも、測定したい温度範囲に合わせて高精度の結果を得るために、 2種以上の標準試料で調整することをお勧めします。

したがって、測定プロセスには次の手順が必要です。校正、調整、校正及び調整後の確認測定、そしてサンプル測定です。

 

校正用認定基準物質

標準試料は、使いやすく、簡単に入手でき、安定していなければなりません。

Reference substances should be easy to use, easily accessible, and stable.

標準試料の融点または融解エンタルピーは、外挿すると不正確な結果につながるため、目的の測定範囲内にある必要があります。

ガリウム、インジウム、スズなどの純金属 (純度 99.99% 以上) だけでなく、アダマンタン、安息香酸、ナフタレンなどの有機物質も校正基準として使用されます。

DSC の温度及びエンタルピー校正用の認定参照物質は、LGC (英国)、NIST (米国)、および PTB (ドイツ) から提供されています。 これらは追跡可能な参考資料です。 このような物質は、ISO 9000 や DIN EN ISO/IEC 17025 などの関連する品質管理規格のすべての要件を満たしています。

また、一部の液晶は、冷却過程の二次標準物質として認定されています。 わずかに汚染された物質の純度測定のために、LGC は不純物が認定された参照物質も提供しています。